作家、柳美里さんについての情報

■最近の活動(私が偶然目にしたものだけ)
 NHK総合テレビ・ドラマDモード「ルージュ」(原作:柳美里)
 新潮社『世界のひびわれと魂の空白を』(2001.9.27)
 「新潮」に『石に泳ぐ魚』裁判についての記事(2001.7)
 『言葉のレッスン』が文庫化(2001.6.25 角川文庫・514円)
 『ゴールドラッシュ』が文庫化(2001.4.23 新潮社・590円)
 i-mediatv 『魂』をめぐって (福田和也氏との対談)
 文學界2001年5月号 『石に泳ぐ魚』について 福田和也氏と対談他
■柳美里(作家)
 昭和43(1968)年、神奈川県横浜生まれ。6月22日生まれ。蟹座。A型。
 横浜共立学園高等学部を中退後、劇団「東京キッドブラザーズ」を経て、昭和63(1988)年、18歳で単身、劇団「青春五月党」を旗揚し、劇作家兼演出家となる。1988年4月、『水の中の友へ』で旗揚げ公演、その後年2回のペースで新作を上演。
 平成5年(1993)年、『魚の祭』で第37回岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。平成8(1996)年『フルハウス』で第24回泉鏡花文学賞、第18回野間文芸新人賞、平成9(1997)年『家族シネマ』で第116回芥川賞を受賞。最近では『命』、『魂』などで読者層が広がっている模様。


■作品リスト(出版年月は単行本のもの)
作品名 出版社名 出版年月 ジャンル           文庫版             備考
静物画 而立書房                1991.11     戯曲                 角川文庫『魚の祭』所収             
向日葵の柩 而立書房 1993.1 戯曲 角川文庫『Green Bench』所収  
魚の祭 白水社 1993.2 戯曲 角川文庫 文庫480円
Green Bench 河出書房新社 1994.3 戯曲 角川文庫 文庫476円
石に泳ぐ魚 1994.9 雑誌「新潮」 未出版  小説    
家族の標本 朝日新聞社 1995.5                 エッセイ 朝日文芸文庫、角川文庫 文庫480円
柳美里の「自殺」 河出書房新社 1995.6 企画本 文春文庫 文庫457円
私語辞典      朝日新聞社 1996.5 エッセイ 角川文庫 文庫457円
フルハウス 文藝春秋 1996.6 小説 文春文庫 文庫390円
窓のある書店から           角川春樹事務所 1996.12             エッセイ ハルキ文庫 文庫500円
家族シネマ 講談社 1997.1 小説 講談社文庫 文庫448円  
水辺のゆりかご 角川書店 1997.2 エッセイ 角川文庫 文庫514円
Now and then  柳美里          角川書店 1997.8     1000円
タイル 文藝春秋 1997.11 小説 文春文庫  1143円
仮面の国 新潮社 1998.4 社会批評 新潮文庫 1400円
言葉のレッスン 朝日新聞社 1998.6 エッセイ 角川文庫 文庫514円
ゴールドラッシュ 新潮社                    1998.11 小説 新潮文庫 文庫590円
女学生の友 文藝春秋 1999.9 小説   1286円
メディアファクトリー 2000.2 小説   1200円
小学館 2000.6     1238円
魚が見た夢 新潮社 2000.10 エッセイ集    1400円
小学館 2001.1      
言葉は静かに踊る 新潮社 2001.2     1400円
ルージュ 角川書店 2001.3.9 長編小説    1200円


■『石に泳ぐ魚』のモデルにまつわる裁判

 「石に泳ぐ魚」…1994(平成六年)、文芸月刊誌「新潮」9月号に発表された、柳美里さんの処女小説。
 この小説のモデルとされる柳さんの知り合いの女性が、名誉やプライバシーを侵害されたとして、柳さんや新潮社に損害賠償と小説を単行本として出版しない事などを求めていた。
○1999.6.22(火)第一審@東京地方裁判所(NHKテレビのニュースより)
 判決で、小池信行裁判長は、「小説の中の虚構の人物であってもモデルが誰なのかが読者に分かり、書かれた内容が事実なのかフィクションなのかがはっきり区別できないときにはモデルのプライバシーが侵害される場合がある」と述べた。そのうえで、この小説については原告の女性の特徴や経歴がそのまま登場人物に与えられていて、知り合いの人が読めばモデルが誰かが簡単に分かり、顔に病気があることは公表されたくない事で、プライバシーの侵害にあたるのは明らかであると述べた。

 判決
 プライバシーの侵害や名誉毀損を理由に130万円の支払いを柳さんや新潮社に命じた。
さらに柳さんや新潮社が小説の単行本を出版することはないと約束した事を理由に、単行本の出版・映画化などを禁止する判決を言い渡した。

 柳美里さんのコメント
 私は、事実そのものを書いた部分は『石に泳ぐ魚』の部分にはないと思っていて、あくまで作者の「私」の目を通したフィクションだと思っている。「ここは虚構でここは事実だ」というように判決文は一つ一つ取り出して断定していますが、そのような読み方自体私としては不本意だ。これによって日本でながく続いている私小説というジャンルが書きづらくなり、すべての小説家などにとって重大な問題だと思う。

 原告側の弁護士のコメント
 損害賠償だけでなく、出版も禁止された事で主張がほぼ全面的に認められ、特に文学でもプライバシーを侵害する作品の出版は許されないという判断を判決が示した事は高く評価したい。

 原告の女性の談話
 断りも無く小説に利用されて受けた苦痛は、忘れる事はできません。


○1999.7.5柳美里さん側が控訴 
○2001.2.15控訴審@東京高等裁判所(毎日新聞より)
 戦後初めて小説の出版差し止めと130万円の慰謝料支払いを命じた東京地裁判決を支持し、柳さん側の控訴を棄却した。
○2001.3.1柳美里さん側、最高裁に上告
 その他関連記事
・「新潮45」99年8月号に柳美里の主張が掲載。[プライバシー裁判血風録 「朝日新聞」社説と「大江健三郎氏」に問う]
・『窓のある書店から』の中の<表現のエチカ>。ここではモデルとなったKさんとの出会い、初めて小説を書いたときのエピソード、表現の自由にまつわる裁判についての考えなどが書かれている。


■mirilink

産經新聞1997.1.17(芥川賞受賞について)

1997.5.5「徹子の部屋」

Web新潮・作家自作を語る『仮面の国』(Real Player)

時代を語る=ゴールドラッシュ (西日本新聞・1999年5月10日朝刊)

「家族シネマ」日本公開へ(1999.09.08 民団新聞)

福田和也氏の著書『喧嘩の火だね』の一部 (新潮社HPより。1999年)

i-mediatv(バックナンバー)

毎日新聞(「柳美里」で記事検索。フォトバンクに写真あり)

週刊ポスト1999年12月17日号衝撃スタート柳美里新連載「命」 撮影篠山紀信

Yahoo!掲示板[柳美里]

LaValse's Homepage(専用掲示板あり)


■保存庫(玉石混交注意)
□2ちゃんねるログ
柳美里◆出版差し止め命令において…(2001.2.15)
柳美里について(2000.7.4)
それでいいのか?柳美里(2001.5.27)

2001.4.1より

kure
kure@deneb.freemail.ne.jp